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古墳があったでしょう、と彼は言った。

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古墳があったでしょう、と彼は言った。大学の裏手に、小さい古墳があったじゃない。名前がかいてある看板もあったっけな。あれ、まだあるのかなあ、と遠くを見る。古墳? 全く覚えがない。そんなのなかった、と私は主張した。えっ、と大きな声を上げて彼は大げさに驚いた。僕が覚えているぐらいなのにあなたが覚えてないのはちょっとおかしいでしょう、と目を丸くする。だって古墳はあなたの下宿のすぐ近くにあって、あなたは毎日あの横を通って大学に通っていたでしょう、と口調が呆れた調子を帯びる。でも、いくら小さくたって、古墳なんて変わったものがあれば私だって印象に残っているはずだから、それはそちらが何か別の場所と混同してるのではないかと私がいうと、えー、本気なのそれおかしいよと、彼は声のボリュームを絞ってつぶやき、しばらく沈黙があってから話題は他に移った。それから数年後、卒業した大学に人を訪ねる機会があったので、ふとそれを思い出して、構内に古墳はありますか、と尋ねると、ありますよ、ひっそりとしたやつですけど、見てみますか、とその人はその場所に案内してくれた。古墳はあった。フェンスに囲まれていて、築年代や発掘の経緯などが書かれた看板がかかっていた。盛土は半分ぐらいはげ、からっぽの石室がむき出しになった上に木が生えている。どう見ても古墳だったし、私は完全にこの光景に見覚えがあった。フェンスも石室も看板も知っている。なにしろ毎日この横を通っていたのだから。しばらくぼんやりと眺めてから、この古墳なら知っています、と私がいうと、え、でもこれ以外に古墳はないですよ、と案内してくれた人は当惑する。これ以外に古墳はない、と私は小さく繰り返す。
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